法4条1項1号、2項については、民法の錯誤や詐欺取消しを主張する場合とはどのように異なりますか。

 詐欺取消しの主張の場合には、事業者が故意に消費者を騙す意図があったことを消費者側が立証する必要があるので、実際にこれを証明することが難しいという側面がありました。
また、錯誤無効の主張は要素の錯誤という法律行為の重要部分の錯誤ある場合のみ無効になるという限定的な場合に限られ、また表意者である消費者が錯誤について重大な過失があれば錯誤無効の主張は認められませんでした。
それゆえ、民法のこうした規定よりも消費者契約法の取消主張は、消費者の主張・立証責任を軽減したという意味で消費者保護という面で一歩進んだことは事実です(但し、不十分であるという批判も多くあります)。

法4条1項1号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。

例えば、羽毛布団のセールスを例に取ると、実際には10年程しか使用できないのに「この布団は耐久性が高いので、20年以上使用できますよ。」というセールスを受けたような場合が考えられます。

法4条1項2号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。

先物取引などで、「私に任せて頂ければ、必ず利益を出して見せます。」とか、「原油の価格が騰貴していますので、必ず利益が出ますから買いをいれましょう。」というようなセールストークが用いられたような場合が先ずあげられます。
また、絵画などの販売で「この画家の絵は今大変人気があって入手しにくくなっています。
数年すれば必ず購入価格の倍以上で売れますよ。」というよなセールストークが用いられた場合も考えられます。

法4条2項が適用されるのは、どのような場面でしょうか。

銀行員が外貨預金を勧誘する際、高利回りである旨を強調して、為替が円高になったとには元本割れ等の損失を蒙る危険性について消費者に説明をしなかった場合があげられます。

法4条3項1号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。

布団のセールスなどで、自宅に上がり込んでなかなか帰らないという被害事例は多数出ています。法律の文言通り「帰って欲しい。」と消費者が申し出たのに、なお居座ってセールスを続けて、最終的に商品を買わせてしまうような事例です。  なお、こうした事案については訪問販売法においても、禁止行為として「…契約を締結させるため、人を威迫して困惑させてはならない。」と規定し、省令6条1号において「…契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘」をすることも禁止行為として掲げています。
しかし、こうした訪問販売法違反の法律行為について取消しというような効果は明確に定められいませんでした。また、長時間にわたる執拗な勧誘により締結された契約について、公序良俗に反するとして無効とした判例がありますが消費者救済という観点からは十分ではありませんでした。
そうした意味で、こうした問題販売行為があった場合に、明確に消費者に取消権を認めていることは、消費者救済において重要な機能を果たすと思われます。
特に、布団のセールスなどではクーリングオフが定められていても、事業者が布団を下取りと称して強引に持っていき、事実上クーリングオフのしにくい状況にしているという例も多数ありました。
そのような事例で、取消権の行使が認められれば被害者救済には大きな機能を果たしたと思います。

法4条3項2号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。

道を歩いている人に声をかけて営業所に連れて行くキャッチセールスや、仕事先などへ電話でしつこく勧誘して営業所に訪問させ、商品を購入させるまでは退去を許さないというセールス方法の場合に適用されます(アポイントメントセールス)。
こうした事例については、絵画、会員権販売などの被害事例が多いようです。
キャッチセールスの被害事例として多いのが、貴金属、エステティック、絵画などです。
アポイントメントセールスの被害事例として多いのが、複合サービス会員権、貴金属、各種教材などです。

取消権はいつまでに行使する必要がありますか。

法文を見ますと、「第4条1項から第3項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から6ヶ月間行わないときは、時効によって消滅する。
当該消費者契約の締結の時から5年を経過したときも、同様とする。」(法7条)と規定されています。
追認というのは、取消し得べき法律行為を確定的に有効にする意思表示をいい、それは当該消費者契約が「取消し得べき法律行為」であることを消費者が知っていることが前提となります。
従って、法4条1項、2項については誤認に気がついたときから、3項については事業者が退去したとき、消費者が退去できたときから6ヶ月ということになります。
これは、民法上の取消権の時効期間と比較して短いのですが(民法は5年、20年)、取消権の範囲を民法より拡大したこととのバランスを図るためと理解されています。

事業者の責任を免除する条項を無効とする規定とはどのようなものでしょうか。

法8条1項には以下のように、事業者の債務不履行責任、不法行為責任、瑕疵担保責任の全部又は一部を免除する条項を無効と定めています。
まとめて説明すると、債務不履行、不法行為責任共に全部免除条項は無効、事業者側に故意・重過失がある場合には一部免除であっても無効、瑕疵担保責任を全部免除する条項は無効ということです。
1号 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
2号 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
3号 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部の免除する条項
4号 消費者契約における事業の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項
5号 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約であるときは、当該消費者契約の仕事の目的物に隠れた瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項

訪問介護と連続した輸送のみを行い、タクシー単独での営業を行わない場合、どのような許可が必要ですか?

 特定旅客自動車運送事業の許可(道路運送法43条許可)が必要です。
指定訪問介護事業者などが、要介護者を対象に医療施設等との間の送迎輸送を行うものです。
一般旅客自動車運送事業(福祉輸送事業介護タクシー)に比べ、資産要件、役員の法令試験などが免除されます。
運転者については普通二種免許が必要となり、自動車は緑ナンバー(黒ナンバー)となります。
介護事業をメインでお考えの場合には、この許可で十分です。

ポイント:
特定の市町村の要介護者の認定を受けた者を会員する会員制により、利用者である要介護者が特定されているをなどの要件を満たせば、許可を受けて事業を行うことが可能となります。
許可基準は、前回紹介した一般旅客自動車運送事業(福祉輸送事業介護タクシー)と同様ですので省略します。
今回は、許可申請書等を紹介します。
≪許可申請に必要な書類≫
事業の用に供する施設の概要及び付近の状況を記載した書面
営業所、車庫、休憩・仮眠施設の案内図
   (営業所、車庫、休憩・仮眠施設の距離)
営業所、車庫、休憩・仮眠施設の見取図、平面図(求積図)
営業所、車庫、休憩・仮眠施設に係る関係法令に抵触しない旨を証する書面
施設の使用権原を証する書面
  自己所有:不動産登記簿謄本
  借入:賃貸借契約書(写)
車庫前面道路の道路幅員証明(前面道路が国道の場合は不要)
計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
  車両購入:売買契約書(写)又は売渡承諾書(写)等
  リース:自動車リース契約書(写)
  自己所有:自動車検査証(写)
セダン型の一般車両を使用する場合にあっては、申請者(従業員を含む)
が以下に掲げるいずれかの資格を有していることを証する書面
・介護福祉士(登録証(写))・訪問介護員(修了証明書(写))
・居宅介護従業者(修了証明書(写))・ケア輸送サービス従事者研修の修了証(写)
計画する管理運営体制を記載した書面
事業開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
任意保険の見積書(補償額、対物保険に係る免責額、保険料の分かるもの)
タクシーメーター器の見積書(タクシーメーター器による運賃を収受する場合に限る。)
申請日直近の残高証明書(申請者名義)
法第7条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨を証する書面及び法令遵守状況を証する書面(宣誓書)
既存の法人にあっては、次に掲げる書類
 定款又は寄付行為及び登記簿の謄本
 最近の事業年度における貸借対照表
 役員又は社員の名簿及び履歴書
法人を設立しようとするものにあっては、次に掲げる書類
定款(商法第167条及びその準用規定により認証を必要とする場合にあっては、認証のある定款)又は寄付行為の謄本
発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
設立しようとする法人が株式会社又は有限会社である場合にあっては、株式の引受け又は出資の状況及び見込みを記載した書面
個人にあっては、次に掲げる書類
  • 資産目録
  • 戸籍抄本
  • 履歴書

介護保険ってどんな制度ですか?

介護保険制度は、介護を必要とする状態となっても、自立した生活ができるよう、

  高齢者の介護を国民みんなで支える仕組みです。
  そしてまた、できるだけ従来の生活が続けられるように、介護予防を通じて支援する仕組みでもあります。
  要介護認定で「要介護」と判定された方には介護給付が、「要支援」と判定された方には予防給付が提供されます。
  「非該当」という判定であった方にも、要介護・要支援になるおそれがあれば、介護予防のプログラム(特定高齢者介
  護予防事業)が提供されます。
  年1回の健診等を通じて、要介護・要支援になるおそれがないかどうか定期的なチェックが行われます。
  このほか、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、総合相談・支援や権利擁護も行われています。
用語解説
【要介護者】
次のいずれかに該当する者をいう。
 1. 要介護状態である65歳以上のもの
  2. 要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上または精神上の障害が
   加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(以下「特定疾病」という)によって生じたものであるもの
【要介護状態】
   身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部または
   一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介
護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分のいずれかに該当するものをいう。

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