≫ 相続は、人間の感情と欲得が絡み合うと、なかなか解決しません。(その1)

ある農家の相続手続を依頼されて説明に行きました。


相続財産の資料を見ると、現金預金はあまりなく、土地建物が大半です。

宅地が1,500㎡(450坪)農地が12,000㎡(3,600坪)

建物が、住宅、倉庫、車庫、畜舎しめて、お金に換算すると、2,000万円

と言ったところです。(この地域の農家の平均的な数字です。)


今回の相続のしかたは、相続人全員の話し合いで決めることになりました。(これを遺産分割協議と言います。)


依頼主が、ほかの相続人にうまく説明ができないとのことで

私が、全員集まった席で説明いたしました。


相続関係人は、全部で6人です。

妻と、長男、死んだ長女の子(甲・乙の2人)次女、次男という組み合わせです。


説明した内容は次のようなことです。


●法律では、妻が2分の1、子どもが残り2分の1を頭数で割って配分すること(死んだ子どもの分は、さらにその子が頭数で割る。)が、法定相続であること。


●しかし、これはもめた時を想定しているので、必ずしもこれに従う必要がないこと。


●相続財産は、土地が多く特に農地が多いので、一般的には家に残った家族が相続するケースが多いこと。


●現金預金については、葬式費用、お墓代、今後の法要代、地域・親戚の冠婚葬祭費用、お寺の維持費(年会費みたいなもの)、その他の諸経費を勘案して、残れば分配していること。


●その他として、生前に特別な援助を受けた人があれば、その分も相続財産に含めて配分しないと不公平になること。


●また、妻や夫が生存していれば、必ず扶養や介護費用が必要になること。その分を確保してから分配しないと、面倒見る人が大変なこと。


そんなことを説明しました。


一通り説明が終わり、お集まりのご家族に

「ご質問は?」とたずねましたが

誰からも質問はありませんでした。


そこで、

「私の出番はここでおわりです。」

「では皆さん、よろしくご相談ください。」

と言ってその場を失礼しました。


その日の夕方依頼主(長男)から電話があり、武田の説明のお陰で無事協議は整ったから後日来てくれとのことでした。

ここまでは、「めでたし。めでたし。」でした。


ところが次の日の午前中、死んだ長女の子ども甲から電話がありました。


内容は、長男がすでに分配方法を決めており、自分たちには、配分がないとの説明だったこと。


ちなみにこんな説明だったようです。


妻が、預金と保険を相続する。

次女、次男は、生前住宅の建築資金の援助を受けていたため、今回の配分は無し。この2人はこれで異存なし。

残ったすべての財産は、長男が相続するという内容だったそうです


甲乙には

「死んだ長女分は、生前に生活資金として数百万援助しているはずだから、これでチャラになる。」と言われた。


しかし、その事実は母親から聞いていない。

また、父親(死んだ長女の夫)に確かめたが、まったく知らないとのこと。


自分たちにも正当な相続分があるはずで、納得がいかない。

その場では言い出しにくかったので帰ってきた。


私に自分たちの正当性を確認したかったので電話したとのこと。

(私はそれが事実なら納得いかないだろうな~。)と思いながら聞きました。


私は、

「納得いかないなら、もう1度話し合いしてみてはどうですか?」

「ハンコ押さない限りは、なにも進みませんから安心してください。」

と言って電話を切りました。


続く

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